ビジネスブログ「ご担当者必見!差をつけるメディアインテリジェンスの活用」

日本でも広がるフェイクニュースの背景と10の対策!

2017/08/08

昨今よく聞かれる言葉に「フェイクニュース」があります。アメリカ大統領選挙で、ソーシャルネットワーク(SNS)を介してその数が爆発的に増えて注目されました。

海外の話のようですが、実は日本でもデマと呼ばれて、昔から存在しました。例えばオイルショックの紙騒動や、株価操作で利益を得る目的で虚偽情報を流すといったものです。記憶に新しいものでは、東日本大震災や熊本地震でも根拠のない情報が流れ、悪質なものでは逮捕者も出ました。冷静に考えれば、裏付け情報等を確認することも出来るでしょうが、平時とは異なる精神状態にある人々は、信じ込んでしまう傾向があるのも特徴です。

マスメディアの時代は、デマもまだ限定的で情報の出所も特定しやすかったことから抑え込むことも比較的、行いやすかったのですが、ソーシャルメディアが隆盛を極める現在は、誰でも簡単に情報発信やシェアを出来ることから、デマの拡散に拍車がかかっています。フェイクニュースが瞬く間に広がる理由のひとつには、自分がよく知る信頼した人物から回ってきた情報は、鵜呑みにしてしまうことにあります。これは口コミと同じ原理です。

フェイクニュースが信じられてしまう原因にはフィルターバブル(filter bubble)というネット社会の環境もあります。インターネット検索は、一見幅広い情報へのアクセスできると思いがちですが、そのアルゴリズムは利便性を高めるために、ユーザー情報に基づきパーソナライズさせる機能があります。これによって、どんどん自分の好みの情報にばかり触れるようになり、自らの偏った情報の殻(バブル)に閉じこもってしまうことからこう呼ばれます。「タコつぼ化」と言われることもあります。

情報へのバランス感覚を失った状態で、好みのニュースを目にすると、信じ込む、または信じたくなる、という状況が生まれるのです。インターネットは仲間が集まるコミュニティを形成する一方、自分たちとは異なる集団との対立を一層に際立たせることが分かってきました。それに拍車をかけているのがフェイクニュースなのです。

ソーシャルメディアを巧みに利用し当選したトランプ第45代アメリカ大統領は、就任式の参加者人数が推定25万人にとどまり、180万人といわれた前任者のオバマ大統領の就任式より、写真でも明らかに少ないにも関わらず、報道官は「過去最大の参加者数だった。」と断言しました。明らかな虚偽の情報を指摘されるとトランプ大統領は「代替的な事実(alternative fact)だ。」と説明したのです。政治の世界では、見解の違いや都合の良い情報を真実の様に伝えることは多々ありますが、大国の大統領が、ここまで一目瞭然のウソを堂々と言ってしまう時代が到来しているのです。これもウソを真実ととらえる民衆がいることを計算しての事だと考えられます。

一方、イギリスがEU離脱の是非を問うた国民投票時においても、多くのフェイクニュースが流れ、結果は周囲の予想を覆す離脱派の勝利に終わりました。専門家の話として、離脱した場合には経済が大幅に失速することが予見されていましたが、離脱派はEU残留派の主張は嘘だと言ってはばかりませんでしたが、実際に経済は混乱に陥り、専門家の言った通りとなりました。これは結果的に正しい分析でしたが、離脱支持者の中には、経済の安定が維持されるものと信じて投票した有権者が大半のため、ふたを開けると異なる結果になったことで、英国内の情勢はより一層、複雑化しています。

扇動的な虚偽情報が社会の分断し、テロなどの反社会的思想や行為を助長しているという指摘もあります。このような有害なフェイクニュースを発信する理由には、政治的動機や、単に人々が飛びつきそうなニュースを作り上げて、広告収入を得ようとする経済的動機があります。他には愉快犯的に悪ふざけで流す場合もあります。以前は出版というのは、まず紙面構成をつくり、印刷し、配布するという、ものすごく手間も費用もかかる作業でした。しかし、今の時代はスマホひとつあれば、特別な費用もかからずに簡単な操作だけで、情報発信が出来てしまいますので、趣味や暇つぶし程度の感覚も考えられます。

デタラメな情報がインターネットに溢れていることが問題視されており、フェイスブックやグーグルなどのオンライン業界も、抑止に向けて動きだしてはいます。しかし、何をもって有害なフェイクニュースとするかは曖昧で、人工知能(AI)である程度までは確認できますが、大量の情報を最終的に人の目で確認することも必要なため、その選定は極めて難しいタスクと言えます。ヨーロッパ発祥の「エイプリルフール」は、4月1日に、洒落っ気のあるウソをつく文化です。普段は裏付けに基づいて報じている主要メディアも、聴衆が冗談だと理解できるという前提で、事実ではないことを事実の様に報じます。中にはものすごくリアルな話で本当に信じてしまう場合もありますが、騙されるかどうかが醍醐味であって、プラットフォーム側でその答えをはなから出してしまうと、文化の面白みが削がれてしまいます。

行政もフェイクニュースにただ手をこまねいているわけではありません。ドイツやシンガポール、英国等が法律で規制すべきという議論を進めていますが、国が不適切な報道を取り締まるというのは、言論の自由を制限する検閲になりかねないとして、こちらも賛否両論あります。一部の独裁的国家では、マスメディア同様に、ソーシャルメディアが厳しく規制されているのは、民衆への影響力の証です。

ソーシャルメディアは市民のコミュニティ形成を促し、言論統制のある国でも大きな民衆の力を集結し、アラブの春に代表されるような、抑圧的な体制に対する反対運動の助けとなりました。一方、欧米の民主主義圏では、ソーシャルメディアが良くも悪くも世論に影響を及ぼし、社会が分断し近年のアメリカや欧州での選挙では、一触即発の雰囲気を作り出しています。アメリカでは選挙結果が明らかになっても、対立が収まる気配がありません。ソーシャルメディアは民主化のためのツールと思いきや、民主主義をも大きく変容させる力を持ちあわせていることが明らかになってきました。

このように、世界中で大きな影響力を及ぼし、社会問題化しつつも、一筋縄にはいかないのがフェイクニュースなのです。インターネットが広く普及している日本でも、いつデマが暴発し思いもよらない損害を被るかわからない時代が到来しています。携帯文化が特色の日本は個人のソーシャルメディア利用も盛んで、フェイクニュースは日本でも対岸の火事ではありません。災害同様に日頃からの備えがとても重要です。


フェイクニュース対策 10のチェックポイント(抜粋版)

※完全版はこちらからダウンロードできます。

バーバラバーバラ・グレイ 准教授、主任図書館員
ニューヨーク市立大学(CUNY)大学院ジャーナリズム学部

 

①疑って見る

シェアする前に検証しましょう。 ジャーナリストは虚偽情報と仮定し、裏付け証拠を探します。

③まずは自己確認をする

• 誰の発言ですか?
- 話を掲載する出版物と引用している情報源を精査します。そもそも情報源がありますか。

• 発言者はなぜ知っているのでしょうか?
- その情報発信源にふさわしい団体ですか?

• 見方に偏りはないですか?
- そのストーリーは一方的な立場の発言ではありませんか?

• そのニュースは信頼できるサイトでも掲載されていますか?

⑥自分の確証バイアスに注意する

自分自身に「既存の信念や期待に沿って情報や証拠を求めて、解釈しようとする潜在意識の傾向」はありませんか。

※完全版はこちらからダウンロードできます。

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