デューデリジェンスブログ「鈴木正人弁護士 グローバルコンプライアンスへの備え」

グローバルコンプライアンスへの備え⑤企業における外国公務員贈賄防止体制(外国公務員贈賄防止指針(3))

2017/06/05

1. はじめに

前回ブログでは、経済産業省が策定している外国公務員贈賄防止指針(以下「本指針」という。)の内容を踏まえて外国公務員贈賄防止体制として望ましい要素のうち、基本方針の策定・公表、社内規程の策定、組織体制の整備について概説した。本ブログでは、外国公務員贈賄防止体制として望ましい残りの要素である社内における教育活動の実施、監査、経営者等による見直しの項目の留意点等について説明する。

2. 企業が目標とすべき外国公務員贈賄防止体制の在り方

 (1) 社内における教育活動の実施

本指針は、外国公務員贈賄防止体制として、社内における教育活動の実施の要素を挙げている。企業が従業員の贈賄防止に向けた倫理意識の向上を促し、内部統制の運用の実効性を高めるためは、社内において適切な教育活動を実施することが重要である。具体的には以下のような取組みが参考となると考える。

                              チャート

(2)  監査

グローバルコンプライアンスへの対応全般に共通するが、監査の実施と監査結果の検証、見直しは非常に重要なアクションである。

企業が行う一連の活動に関して、PDCAサイクルというフレームワークがある。

①P(Plan、計画)の段階では、目標を設定し、それを具体的な行動計画に落とし込み、

②D(Do、行動)の段階では、行動計画について具体的に実行を行い、

③C(Check、点検)の段階では、途中で成果を測定・検証し、評価を行い、

④A(Action、改善)の段階では、Cの結果を踏まえて必要に応じて修正を加えるものである。

PDCAサイクルでは、一連のサイクルが終了した後も、再計画へのプロセスへ入り、次期も新たなPDCAサイクルを進めることになる。グローバルコンプライアンス対応における内部監査は、PDCAサイクルの点検(check)に対応する。

本指針は、定期的又は不定期の監査により、社内規程の遵守状況を含め防止体制が実際に機能しているか否かを確認するとともに、必要に応じて、監査結果等が後記(3)の見直しに反映させることを掲げている。

監査担当者(コンプライアンス責任者や法務・経理担当者、監査役などの監査に携わる役職員等)は、防止体制が有効に機能しているか否かについて定期的に監査し、実施状況を評価することや監査結果等については、経営者、コンプライアンス責任者、法務・経理・監査部門の責任者、関連する従業員に広く情報が共有されるよう努めることが肝要である。

(3)  経営者等による見直し

内部監査等を踏まえて、経営陣が改善を行うことも外国公務員贈賄防止体制の要素として非常に重要である。グローバルコンプライアンス対応についてPDCAサイクルに即して整理すると、経営者等による見直しは改善(act)に対応する。

本指針は、継続的かつ有効な対策や運用を可能とするよう、定期的監査を踏まえ、必要に応じて、経営者やコンプライアンス責任者等の関与を得て、防止体制の有効性を評価し、見直しを行うことも企業が目標とすべきとする。

次回のブログでは、本指針を踏まえた「子会社の防止体制に対する親会社の支援の在り方」などの留意点等について説明する。

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弁護士 鈴木 正人

弁護士 鈴木 正人
岩田合同法律事務所パートナー。2000年東京大学法学部卒業。2002年弁護士登録。2010年ニューヨーク州弁護士登録。2010年4月から2011年12月まで金融庁・証券取引等監視委員会事務局証券検査課に在籍。『FTACA対応の実務』(共著、中央経済社、2012年)、『Q&Aインターネットバンキング』(共編著 金融財政事情研究会、2014年)、『The Anti-Bribery and Anti-Corruption Review Fourth Edition』(共著 Law Review、2016年)等著作多数。

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