ビジネスブログ「ご担当者必見!差をつけるメディアインテリジェンスの活用」

ユナイテッド航空事件に学ぶ: 高度6,000メートルの危機

2017/04/19

企業の広報担当者にとって危機管理とは、成功事例からよりも悪い事例からより多くを学習するスキルといえるでしょう。現在ならユナイテッド航空がオーバーブッキングしたフライトから乗客を強制的に降ろした事件に注目しているはずです。このような事例から目をはなさず、つまりは失敗や間違いから学ぶことが、同じ失敗を繰り返さないようにする確実な方法なのです。ユナイテッド航空の最悪な1週間の結末は、広報担当者への強烈なメッセージになるでしょう。

                  UA 国内媒体露出量(過去30日)   

謝罪は受け入れられない

ユナイテッド航空事件の報道が広がるにつれ、厳しい教訓がつきつけられました。同社の対応のほぼすべてが『やってはいけないこと』に該当するものでした。PR Dailyのポストで、Inspire PR GroupのヘッドであるHinda Mitchell氏は、ユナイテッド航空のCEO Oscar Munoz氏の事件への対応について、最初の声明で一般に公開されたものと、社員向け声明のタイミングと内容の両方に注目し分析しました。

危機発生時、広報チームにはスピードと決断という2種類の武器が求められます。Munoz氏が公式声明を発表するまで1日をかけたという事実は、ひとつめの危機の兆候でした。現在のメディアサイクルは、並々ならぬペースで動いています。メジャーなニュース発信媒体のオンラインニュースは、事件が1日で爆発的に拡大することを止めることはできません。TVニュースが事件を取り上げる前であっても、ソーシャル・メディア上ではすでに注目の話題になっていることも多くあります。広報チームが何らかの対応をするまで1日待機した場合、話題を制御できなくなるリスクにさらされます。Mitchell氏は、ユナイテッド航空のケースにおいてそれが起こったといっています。

一度批判が生じた後の”火消し”の内容と口調は、批判の波を鎮静するのにほとんど効果がありませんでした。公の謝罪声明は、航空会社の社員をまるで守るかのような内容で公開されました。Mitchell氏が指摘した通り、一般的に同社が自身を哀れんでいる弁明を聞くことを望んでいる人はいません。Munoz氏の公式声明は、社員を支持するものであり、広報担当者が望む内容ではなく的外れなものでした。社内コミュニケーションであれば許容範囲であったかもしれませんが、一般的には単純にユナイテッド航空が自社の利益のみを考えていることを示唆しており、それは顧客サービスをする企業と上場企業という両方の立場から、明確にタブーとされるべきことです。飛行機から引きずりおろされた乗客のビデオを観た人は、それを行った企業に当然ながら共感しないでしょう。つまり、その謝罪プロセスには冒頭から広報担当者が関与していなかったのです。

これからでは事態を収拾し元に戻すことはできないでしょう。対応の遅れは、コミュニケーションにおける一つの重要なポイントです。熟考せずに声明を行うことは、ふたつめの誤りです。本件ではそれらを同時に行ったことで、さらに重大な事件を巻き起こす可能性をふくんでいます。

国際的な事件

グローバル企業、例えば世界的な航空会社は、複数の国でクライシスがどのように展開しうるかをかなり意識しなければなりません。オンラインニュースは早いだけでなくボーダレスだからです。

PR Weekによると、事件のビデオと謝罪内容は瞬く間に世界中に拡散されました。規模の大きな中国市場においても同社のブランド価値は大きな打撃を受けました。たとえば、Weiboではユーザーがユナイテッド航空の特典付きクレジットカードを切り刻んだ写真を投稿したことが指摘されています。Hill+Knowlton StrategiesのAlec Peck氏は、米国と中国のソーシャル・メディアは別々のアプリケーションにも関わらず、事件は同時かつ組織的に両国で拡大したと指摘しました。

上海のAtComm ConsultingのShirley King氏は、中国のインターネット上での批判は、この事件のいくつかの要素に集中しているとPR Weekに話しました。年配者が危害を加えられているビデオは、顧客サービスの無残な失敗を意味しています。また、今回の被害者がアジア系であるため、人種差別的要素があるとも受取れます。ビデオと『横柄な』ユナイテッド航空の声明が厳しく批判される中、これらの特徴がネガティブな感情に火を注ぎました。

常に意識をしておく
広報担当者なら間違いなくユナイテッド航空を飲み込んだような状況に陥ることを回避したいと考えるでしょう。事件が怒りの火種に発展することを回避するためには、ニュースメディアの常時モニターを継続する必要があることを意味しています。

ニュースネタは時間や場所を選ばす突然発生し、全世界にあっという間に拡散します。企業の危機管理対応時には、スピードと決断力が最重要であることを認識し、さらにこれらをリスクマネジメントのコアとして捉える必要があります。加えて、企業はユーザーの行動を理解するというPRの秘訣を常に意識する必要があります。

<出典>

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